フランスの所得税は、第一次大戦のための出費と戦後の復興のために、1914年7月15日の税法で所得税が制定され、同年7月18日の官報(Journal officiel de la République française )で公表され、1916年から課税されるようになりました。
所得税の導入により、『戸窓税』(Impôt
sur les portes et fenêtres)の徴収は1926年に廃止されました。この法律はフランス革命後の1798年11月24日に制定されたもので、公道、中庭、牧草地などに面した窓に課税されました。農業関係の建築物、地下室、天井に作られた窓や、公共施設は課税を免除されました。税金逃れのために、小さい窓しかなく、通気が悪かったり一日中明かりが射さない住居が建てられることで、非常に物議の多かった法律でしたが、イギリスやスペインでも同様の法律が存在しましたが、スペインでは1910年に廃止されました。
イギリスでは1696年に富裕税(Impôt
sur la fortune)として制定されました。特にロンドン(Londres)での住環境が悪化し、幼児のビタミンD不足によるくる病(rachitisme)や骨組織の形成の問題が深刻になり、1851年以降は徴収されなくなりました。ヨーロッパでは当時、くる病のことを「イギリス病(la
maladie anglaise)」と呼ぶほど、イギリスでくる病が多く発生していました。
フランスでの所得税は、同じ家に住む家族単位で課税(foyer
fiscal)されます。単身独身者の場合と、子供のいない夫婦は家族係数(quotient
familial)がてきようされませんが、子供が複数いる家族には、、税金が控除されます。
2021年の所得に対する税金は、世帯収入が1万225ユーロ(約143万円)以下であれば、所得税は徴収されません。1万226ユーロから2万6070ユーロ(約365万円)であれば11%の課税、2万6071ユ-ロから7万4545ユーロ(約1436万円)であれば30%、7万4546ユーロから16万336ユーロ(約14887万円)であれば41%、そして16万336ユーロ以上の所得に対しては、45%課税されますが、家族の形態によって課税金額が異なります。
フランスでは、2001年にオンラインでの所得税の申告を開始しました。2015年からは、給与所得以外の収入のない納税者のオンライン申告が奨励され、2016年所得が1万5000ユーロ(約210万円)以上の世帯は、2018年以降オンライン申告に移行し、2021年1月1日から源泉徴収が導入されたのに伴って、ほとんどの納税者がオンラインで申告することになっています。
オンライン申告が一般化することで、税務署が閉鎖しています。ウエスト・フランス(Ouest-France)紙によると、1626ヵ所にある税務署(centres des Finances publiques)・財務局(trésoreries)のうち、989ヵ所が2022年以降閉鎖されます。
* 1€=¥140
参考文献:
Service-public: https://www.service-public.fr/
Impôt sur les portes
et fenêtres, Wikipédia, https://fr.wikipedia.org/wiki/Imp%C3%B4t_sur_les_portes_et_fen%C3%AAtres
INFO OUEST-FRANCE. Un
centre des impôts sur deux menacé de fermeture, d’ici à 2022, Ouest-France, 16 juin 2019, https://www.ouest-france.fr/economie/info-ouest-france-un-centre-des-impots-sur-deux-menace-de-fermeture-d-ici-2022-6400302