フレンチ・パラドックス

カテゴリ: 文化

クリスマスツリーは、クリスマスのシンボルです。フランス中の市町村でも12月になると大きなクリスマスツリーが広場に設置されます。クリスマスツリーの「発祥地」と言われるアルザス(Alsace)地方のストラスブルグ(Strasbourg)では、クレベール広場(Place Kléber)に高さ30メートルのツリーが色とりどりに飾られます。 アルザス地方に最初にクリスマスツリーが飾られたのは1521年ですが、それ以前にドイツ(Allemagne)やオーストリア(Autriche)ではクリスマスツリーが飾りつけをされていたようです。クリスマスツリーがパリで飾られるようになったのはずっと後の1837年で、オルレアン侯爵(Duc d’Orléans)と結婚したエレン・ド・メクレンブール(Hélène de Mecklembourg)がドイツの習慣を持ち込んだからです。1841年にはドイツ出身のアルバート(Albert)王子がイギリス(Angleterre)のビクトリア女王(La Reine Victoria)と結婚し、ウインザー城(Château de Winsor)にクリスマスツリーが設置されました。これを機に、ヨーロッパの上流階級の家庭でクリスマスツリーが飾られるようになり、次第に庶民も真似をするようになりました。 クリスマスツリーには、天国(Paradis)の象徴である赤いリンゴ(Pommes rouges)や金色に塗られたクルミ(Noix dorées)、バラの花や色とりどりの紙、ホスチア(Hostie)や蝋燭が飾られました。ビクトリア朝時代は、ツリーは白いダマスク織りのテーブルクロスが敷かれたテーブルの上に置かれ、紙で作った花飾りなどで飾られました。赤いリンゴは19世紀には球形のガラス玉になりました。これは、1858年の干ばつの影響でモーゼル(Moselle)地方でリンゴが収穫できませんでした。そこで、リンゴの形のガラスが作られたのです。 蝋燭(bougies)は火事の原因になることが多く、20世紀になると電気の電飾に代わりました。最初の電気のイルミネーションはトーマス・エジソン(Thomas Edison)の立会いの下、1882年ニューヨークに登場しました。それ以降、イルミネーションはクリスマスに必要不可欠なものになりました。 蝋燭は現在でもアドベント(Avent)で灯されます。クリスマスリース(Couronne de l’Avent)に4本のろうそくを立て、クリスマスから4週間の日曜日に最初の1本が灯されます。2回目の日曜日には2本、3回目には3本、そしてクリスマス前の4回目の日曜日は4本すべてが灯されます。 参考文献: Marie-France Noël / Christian Le Corre, Noël Histoire et traditions, Ouset-France, octobre 2008, pp.21, 63-72 Noël en Alsace, Collection Guides Découvertes, I.D.L’EDITION, 2008, pp.24, 28-29 « Pas de réveillon pour Louis XVI », Historia, janvier 2011, N°769, pp.28-33

プロバンス地方では、クリスマスに13種類のお菓子を用意します。13とは、『最後の晩餐』のキリストと12人の使徒の数です。クリスマスの夜に用意され、3日間食後のデザートとして供されます。 13種類のデザートにはすべて意味があります。 まず、数種類のドライフルーツですが、これは4つのキリスト教修道会を指しています。 1. ドライイチジク:灰色のドライイチジクは、フランシスコ修道会を表しています。 2. レーズン:ドミニコ会を表しています。 3. アーモンド:カルメル修道会を表しています・ 4. クルミまたはヘーゼルナッツ:アウグスチノ修道会を表しています。 ドライフルーツだけでなく、生の果物もクリスマスまで地下収蔵庫や納屋で大切に保管しておきます。 5. ぶどう、 6. メロン 7. オレンジ:オレンジはプロバンス地方原産の果物ではないため、「富」の象徴です。 8. デーツ:デーツは、当方からきたキリストを象徴しています。 9. 南国からきた果物:キウイ、パイナップル、マンゴーなどです。 果物だけでなく、ケーキや砂糖菓子もあります。 10. ポンプ(Pompe à l'huile):オレンジの花で香りづけられたケーキです。キリストがしたように、食事の列席者皆に配って、分かち合います。 11. ヌガー(白):ヘーゼルナッツ、松の実、ピスタチオが入ったヌガーです。 12. ヌガー(赤):バラとピスタチオが入ったヌガーです。 13. ヌガー(黒):ハチミツとアーモンドが入ったヌガーです。 クリスマスのテーブルには3枚の白いテーブルクロスが掛けられ、三位一体(Trinité:父 : Père、子:Fils、聖霊:Saint-Esprit)のサントン(Santon)と呼ばれる小さな素焼きの人形を飾り、3つのろうそくを置き、聖バルバラ(Saint-Barbe)と呼ばれる麦の芽の鉢を3つ置きます。

参考:https://france3-regions.francetvinfo.fr/provence-alpes-cote-d-azur/noel-provence-voici-veritable-liste-treize-desserts-613490.html

フランスをはじめとする欧州連合加盟国では、3月と10月の最後の日曜日に「夏時間」または「冬時間」に1時間調整されてきましたが、2021年を最後に「夏時間」と「冬時間」はなくなります。80%以上のフランス人が、「夏時間」と「冬時間」の廃止に賛成していますが、一つ問題が残ります。それは、フランスの標準時をどちらの基準にするのかということです。2019年2月に国民議会 (Assemblée nationale) が行った調査によると、59%が「夏時間」を希望しています。
しかし、フランス時間生物学会 (Société française de chronobiologie) 副会長は、「冬時間」の方が健康に良いと主張しています。なぜなら、昼間と夜の長さが人間の体内時計に影響するため、光が不足する冬には睡眠障害を起こしやすくなるからです。
2019年6月24日、25日、26日、パリでの夜明けは5時47分、日没は21時58分でした。同じ年の12月15日は、夜明けが8時36分、日没が16時53分です。もし一年中「夏時間」が採用されると、その日の夜明けは9時36分になります。日没は17時53分になりますから、夕方が明るくなりますが、朝は起きてもまだ真っ暗です。パリから西の地方だと、夜明けの時間はさらに遅くなります(東側の地域は逆で、夜明けの時間はパリよりも早くなります)。また、夏は明るいうちに寝なくてはならないので、それもまた睡眠障害を引き起こすというものです。
2017年にアメリカで疫学者が行った調査によると、夜の明けるのが遅い地方(つまりアメリカ西部)の方が、肥満、うつ、糖尿病患者が多いことがわかり、「多分」1時間朝が短いことが関係しているのではないかと推測されています。
フランスは東西または南北の長さが約900km。東端と西端または北端と南端とでは夜明けの時間がおよそ1時間違います。

日本では、血統書つきの犬であろうと雑種であろうと、飼い主が犬に自分の好きな名前を付けることができます。チョコ、ショコラ、マロン、ココアなど、スィート系の名前が多いようですが、フランスでは自由に名前を付けられません。血統書(Livre des origins Officielles)付の犬の名前の付け方には規則があります。例えば、2015年に生まれた子犬には、Lから始める名前を付けなければなりません。

この規則は、犬の家系図を管理するSociété centrale (現在のSociété Centrale Canine)1926年に始めました。最初の年はAから始まる名前、2年目の1927年はBから始まる名前というように血統書つきの犬がいつ生まれたかすぐにわかるようにしたわけです。

このシステムは犬の家系図の管理の担い手がUnion Nationale des Livres Généalogiquesになったのに伴い、1972年に見直しが行われました。1973年にIから始まる名前で再スタートしましたが、KQWXYから始まる名前は探すのが難しいという理由で省かれることになりました。このため、犬の名前のアルファベットは、20年で一巡することになります。

 

それでは、具体的にどういう名前が付けられるのでしょうか。アルファベット別に名前を紹介してくれるインターネットサイトが参考になります。例えば、Musherというサイトでは、301の名前を紹介しています。2019年はPから始まる名前なので、Paco( パコ)、Pogo(ポゴ)、 Piccolo(ピッコロ)、 Pancake(パンケーキ)、 Panda(パンダ)などががリストされています。

 

こうした規則は血統書つきの犬にのみ適用されるので、それ以外の犬にはどんな名前を付けようと問題ありません。また、血統書つきの犬であっても、登録名と「通名」を分けて使うこともできます。実際、オランド大統領は、Jから始まる名前を付けるべきところ、彗星に着陸した小型探索機「フィラエ」にあやかって、「Philae」と名付けています。



参考 : 
https://www.musher-experience.com/nom-de-chien-en-p-pour-2019-plus-de-301-prenoms-de-chien/

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