フランス人の大多数がカトリック教徒ですが、一昔前までは豪華な食事で祝うのはイースター(Pâques)で、クリスマス(Noël)は盛大に祝う日ではありませんでした。クリスマスイブ(Le réveillon de Noël)の真夜中のミサに行く前に、ワインを飲みながら焼き栗、クレープまたはドーナッツ(beignets)を食べました。
クリスマスイブの食事は、肉食が許されない日(jour maigre)から肉食が許される日(jour gras)になる夜中の食事のことです。この期間は四旬節(カレム:Carême)のため、肉を食べることは許されませんでした。南仏ではタラ(morue)や焼き魚、たくさんの種類の野菜が食べられました。テーブルには三位一体(la Sainte-Trinité)を象徴する3枚のテーブルクロスが掛けられ、3本のろうそくが飾られました。「プロバンス地方の盛大な夕食(gros souper provençal)」は、キリストと12人の使徒(12 apôtres)を象徴する13種類のデザートで締めくくられました。こうした食事のスタイルは、19世紀に民間伝承研究家(folkloristes)が昔の習慣と再現したことで大流行し、現在でも受け継がれています。 真夜中のミサから戻るとカレㇺが終了しているので、肉を食べることができます。ソーセージやカモの肉が振舞われました。 七面鳥(dinde)は19世紀頃にプロバンス地方でクリスマスの食事として登場しました。七面鳥は18世紀頃から食卓に上がるようになりましたが、王侯貴族など一部の人々にしか縁がありませんでした。また、七面鳥は大きいので、普通のサイズのオーブンで焼くことができず、大きな釜のあるパン屋(boulanger)で焼いてもらわなければなりませんでした。現在では、少人数の家庭でも食べられる小ぶりの七面鳥が飼育されていて、栗を詰め込んだ七面鳥のローストは、クリスマスに欠かせない料理になっています。

参考文献: Marie-France Noël / Christian Le Corre, Noël Histoire et traditions, « La table de Noël », Editions Ouest-France, 2008, pp.109-115