日本では、血統書つきの犬であろうと雑種であろうと、飼い主が犬に自分の好きな名前を付けることができます。チョコ、ショコラ、マロン、ココアなど、スィート系の名前が多いようですが、フランスでは自由に名前を付けられません。血統書(Livre des origins Officielles)付の犬の名前の付け方には規則があります。例えば、2015年に生まれた子犬には、Lから始める名前を付けなければなりません。
この規則は、犬の家系図を管理するSociété centrale (現在のSociété Centrale
Canine)が1926年に始めました。最初の年はAから始まる名前、2年目の1927年はBから始まる名前…というように血統書つきの犬がいつ生まれたかすぐにわかるようにしたわけです。
このシステムは犬の家系図の管理の担い手がUnion Nationale des Livres Généalogiquesになったのに伴い、1972年に見直しが行われました。1973年にIから始まる名前で再スタートしましたが、K、Q、W、X、Yから始まる名前は探すのが難しいという理由で省かれることになりました。このため、犬の名前のアルファベットは、20年で一巡することになります。
それでは、具体的にどういう名前が付けられるのでしょうか。アルファベット別に名前を紹介してくれるインターネットサイトが参考になります。例えば、Musherというサイトでは、301の名前を紹介しています。2019年はPから始まる名前なので、Paco( パコ)、Pogo(ポゴ)、 Piccolo(ピッコロ)、 Pancake(パンケーキ)、 Panda(パンダ)などががリストされています。
こうした規則は血統書つきの犬にのみ適用されるので、それ以外の犬にはどんな名前を付けようと問題ありません。また、血統書つきの犬であっても、登録名と「通名」を分けて使うこともできます。実際、オランド大統領は、Jから始まる名前を付けるべきところ、彗星に着陸した小型探索機「フィラエ」にあやかって、「Philae」と名付けています。
参考 :